フランス<CHAPMOD>No.42 Automne2009掲載 翻訳

2009年9月25日
9月8日掲載フランス<CHAPMOD>No.42Automne2009翻訳
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CHAPMOD No.42 Automne 2009

STUDIO HIRANO KYOTO JAPON
 プロ養成帽子教室STUDIO HIRANO KYOTO JAPONは、1994年、平野徳太郎氏によって、彼の帽子作りのノウハウを若い世代に伝えるという目的のために設立された。この学校は、日本における帽子のクリエーションの殿堂として知られており、こうした分野においては、日本で唯一の機関である。
 京都の祇園生まれの平野徳太郎氏は、デザイナーとして、早くから活躍し始めた。その後、彼はパリのエスモードでモードに関する意識をより深めていった。40年来、帽子の魅力に彼は魅せられ続けている。京都の伝統文化によて培われ、類も稀なるモダンさによって高められた彼のクリエーションは、目の肥えたフランス人から絶え間ない賞賛を浴びている。彼の妻でありモディストの、紀子夫人とともに、彼らの研修生に、スパートリー(※1)、トワール・ゴメ(※2)、固められたチップ(※3)を用いた帽子の技術を教えている。
 数年来、平野徳太郎氏と紀子氏は、彼らの研修生を世界のコンクールで数多くより高いレベルで受賞させてきた。この5月には、シャゼル=シュール=リヨンのインターナショナル・コンクール(コンクールのテーマ:幾何学)でも、彼らの研修生が受賞した(オリジナル賞:笹子素子、審査員賞:加藤節子)。
 このコンクールの授賞式に於いて<日本の帽子の巨匠>として、平野徳太郎氏は特別に京都から、研修生を伴って駆けつけた。このとき彼は、彼が特にこだわるスパートリーの技術とその技術を彼の生徒に伝えると言うことに関して以下のように説明した:

「私たちはパリのオクタブ・フォイエ高校で私たちの技術を教えた。私たちのノウハウをなんとしても将来のモディストであるところの若い世代に伝えていかなければならない。それとともに、重要なのは、映像を使って帽子に関する知識、理論、哲学を継承していくことだ。幸いなことにパリ大学において博士号を取った息子が、私たちのそうした活動に参加してくれている。また私たちは世界に羽ばたけるようなモディストの育成を目的としている。」

巨匠のアトリエでもあるところのSTUDIO HIRANO KYOTO JAPONは、有名な寺院、銀閣寺の近くの静かな住宅街に位置している。20年前に建てられたアトリエは、小さな水路べりにある。春、そよ風に桜の花がゆれ、その後その花びらが水路を流れていくさまは、美しい一枚の絵を見るようだ。この独自のスタイルによってひときわ目立つアトリエを前にした際、頭に浮かぶ言葉は、エレガンスさと洗練だ。

STUDIO HIPANO KYOTO JAPONでは、特別授業という形で、スパートリーの技術を教えている。

※1)日本で製造されている植物性素材、ウコギ科の喬木「イモノキ」の木質部を極細幅のテープ状に裁断、平織りし、片面に寒冷紗を糊で貼付してある。セルロース製のスパートリーも存在する。このように異なる素材を組み合わされたスパートリーは、濡らすことにより、可塑性を獲得し、様々な形にすることが可能となる。それらは、型にはめたり、彫刻のように手で形をだしたりすることで帽子の骨格として使われる。スパートリーは、場合によってはその上から生地で覆われることもあれば、ニスで固められチップとして使用されることもある。
※2)糊の様な凝固剤によって仕上げられたジュートの生地で、演劇用の立体製作に用いられる。
※3)スパートリーやトワール・ゴメによる型の製作は、手間と時間がかかる作業である。チップは帽子の木型と同じような用途で使用される。これらの型は、木型に比べて丈夫ではないが、限定品が製作できる。